定年前にして惑い未だ天命を知らない

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映画鑑賞録 500ページの夢の束(2017)


自閉症で近くの横断歩道を渡ることもできなかったウェンディが、これまでの生活では信じられなかった大冒険を行いながら成長していく物語。

若干のネタバレ?があります。


「Please stand by(落ち着いて)」が本題。

映画の端々で、この「Please stand by」が出てくる。彼女の好きなスタートレックのフレーズらしい。

 

私の地元には、地元の映画館で上映されなかった名作を、映画愛好団体が会費を募って映画館を貸し切って上映会を行っており、その上映会で見た映画である。(この団体は毎月1本上映会をしている。上映する映画を会員にアンケートで募り上映している)
今回、感想を書くにあたり、AMAZONプライムで再度見直し、見逃していた細かな描写、新しい発見をすることができた。

 

自閉症で人とのコミュニケーションが苦手、自立支援ホームで暮らしているウェンディ。
哲学者カントのように、決まった時間に起き、曜日毎に決まった色のセーターを着て、いつものように日々を過ごしている。
スタートレックが好きで、どんな細かなことまでも頭に入っている。

そんな彼女が新しい目標として見つけたのは、スタートレックの新しい脚本を募集するコンテストに応募すること。彼女はその賞金で母や姉との思い出のある実家を取り戻し、またそこで暮らしたいという願いがあったのだ。

 

ホームの寮母さんとのコミュニケーションツールはカズーという楽器からはじまる。
カズーは、アメリカのカントリーミュージック等で使われる楽器で、それ以外では見たことがない。学生時代に使っていたフォークソング部の先輩がいて「間抜けな音なんだよな」と話していたことを思い出す。
どうやって彼女との、このカズーを使ったコミュニケーション方法を見つけたのかということが気になったが、苦心の末に、彼女とのコミュニケーション方法を見つけ、最初がうまくいけば、その後、心を開いて話しやすくなることを掴んだのだろう。

 

映画の中では多くの優しさ(その優しさを裏切られる行為もあったが)に触れる。
その一つひとつの優しさに、映画を見ている私もホッとする。

 

そして様々な出来事で途方にくれて座っていた時に彼女を救ったのは、彼女自身が書いた応募用のスタートレックの脚本にあったMr.スポックの言葉「Captain, there is one logical direction in which to go : Forward」(キャプテン、進むべき論理的な方向が一つあります。前進です)

彼女は自分の書いた脚本の言葉に奮い立ち、再び動き出す。 

 

この脚本の文字は、字幕化もなく、それほど長い時間ではないので、ネイティブでない私は映画館で訳すことができていなかった。


地球人と宇宙人(ヴァルカン人)を両親に持つMr.スポックは、感情を表に出さないヴァルカン人の特徴からコミュニケーション力に問題があり、自閉症の彼女はMr.スポックに自身を投影していたのかもしれない。

 

恐らく、映画を見ている人たちは、誰もが途中から彼女の保護者のような視点で応援しながら映画を見るのではないか。

 

少しずつだけど、一歩一歩前に踏み出していく彼女の成長を見ることができる、おすすめの映画です。

 

 

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