定年前にして惑い未だ天命を知らない

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一人旅のバイブル「地球の歩き方」が売られるって件

 「地球の歩き方」という本がある。

 1979年(昭和54年)に創刊された、リュックを背負って海外を旅する、バックパッカー等の一人旅をする旅人に向けた旅行ガイドだ。

 きれいな写真が中心だった、それまでの旅行ガイドとは違い、「両替の場所」、「バスの乗り方」、「安い宿屋の相場」、「その場所を旅するなら、是非、体験すべきもの」など、初めてその地を訪れる旅人にとって必要十分な情報を網羅した画期的な旅行ガイドだった。

 

 「俺はこんな旅をした」「俺はこんな体験をした」といった、バックパッカーの自慢話を掲載していたこともあり、情報が不明確、不明瞭、そして嘘情報もいくつかあるとのことで、「地球の歩き方を信じたら大変なことになるよ」といったことから、旅人の間では、別名「地球の迷い方」とも呼ばれていた。

 しかし、それでも多くのバックパッカーは小口が青く塗られた「地球の歩き方」一冊を持って、はじめての旅にチャレンジしていた。

 

 そんな一人旅の定番として知られた「地球の歩き方」を刊行するダイヤモンド・ビッグ社が、今年の11月17日までに出版事業などを学研ホールディングスの子会社「学研プラス」に譲渡すると発表した。

 「地球の歩き方」は、これまでに169の国と地域を取り上げ、122タイトルのガイド本を刊行してきたそうだ。

 私も海外旅行に行く際には、必ず現地の地球の歩き方を買って、現地通貨、簡単な現地の会話、行くべき観光地等を調べていた。


 事業譲渡の理由は、「新型コロナウイルスの感染拡大で海外旅行の需要が激減し、回復の見通しが立たない」とのこと。

 確かに、ヨーロッパはロックダウン状態だし、日本も第三波に入るところで東京と大阪、特に北海道は大変な状況であり、とても海外旅行のガイドブックを買うどころではない。

 コロナの影響は航空業界にも出ていて、お隣の韓国も第一位の大韓航空と第二位のアシアナ航空が合併しそうだし、日本のエアラインも、夏冬のボーナスカットといった大変な状況である。エアアジアも実質の倒産となった。

 こんな状況下で、海外旅行ガイドブックの今後の目途をつけろというのは無理難題だろう。コロナ禍の中で、いろいろなものが変わりつつある。


 しかし、学生時代から愛読していた「地球の歩き方」が売られてしまうというのは非常に残念である。学研さんには是非、同じ趣向で続けて欲しいものだ。

 アメリカや中国を旅したときは、必要な都市のところだけをバラバラにして持って行ったり、旅行用のノートを作って、必要なページをコピーして貼ったり、様々な使い方をした。

 どの国のものであっても、基本的に本の構成は同じなので、交通のことはここ、お金はここ、簡単な会話はここ、など、身体に染みついていて使いやすいのだ。


 韓国のソウルオリンピック後の1989年に韓国旅行をしたときは、地球の歩き方に書いている価格まで宿代を値切ろうとがんばったり、エジプトに行ったときは、地球の歩き方の地図と方位磁針を持って中心地であるタハリール広場を目指したりした。情報がすべて正しかったかは別にして、海外で市中のバスに乗れたのも、この本のおかげである。

 自分が勝手な一人旅に出ることをやめた後、娘が海外旅行に行くことになった際に、娘と本屋に行き、娘のために選んだ本も、やはり「地球の歩き方」だった。 

 個人的に好きだった「昔は俺はここに行ったぞ!」といった怪しげなレポートや価格交渉録みたいのはなくなったが、やはり元々が一人旅をテーマにしているだけあって、痒いところに手が届いていた。

(話によると、個人レポートが危ないところだったり、入れないところだったりして、問題になってなくなったと聞いたことがある)

 韓国では「その青い本を持っているのは日本人とすぐわかる」と言われて、日本語が話せる親父に引っかかったこともあった。

 急遽、ギリシヤに行った時は「地球の歩き方」を買えず、ギリシャ語(英語もなかった)の地図を片手に街を歩き、「地球の歩き方」のありがたさをひしひしと感じた。

 

 今の若者たちが海外旅行に行くときは、スマホGoogleマップもあるし、翻訳機能もあるのでかなり楽になり、きっと昔とは違った旅になるんだろう。

 昔は家に電話をかけるだけでも結構大変だった。小銭をいれるのか、カードを使うのか、それさえもわからなかった。

 でも、今思い返すと、それら一つひとつの困惑が楽しい思い出になっている。

 

 

 

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