新型コロナウイルスの何が課題なのか
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、世界中が未曽有の大混乱に陥っている。
金融・産業面においても、リーマンショックを上回る大ショック、国家間の移動の制限による航空産業の危機、大型飲食チェーンの大量閉店など、大混乱が広がっている。
東京、大阪、北海道などを中心に感染者数が増加し、過去最多の更新が続いている。
11月21日からの三連休に入り、日本でも、今後、新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大が起きるのではないかと、ニュースでひっきりなしに報道されている。
そこで、新型コロナ対策について、自分なりの考えを書いておきたい。
では新型コロナウイルス感染症の何が問題なのか。
1感染経路
2感染拡散時期
3自分のこととして考えてもらいたいこと
の3点から書き記したい。
1 感染経路
まず感染経路は、
①飛沫感染
②接触感染
③マイクロ飛沫・エアロゾル感染と言われる空気中に飛散するウイルス感染
の3つと言われている。
この①と②を防ぐ手立てが、マスクの着用、こまめな手洗い(手を洗えないところではアルコール消毒)という対策である。
そして③を防ぐ対策としては、マスク、手洗いに加えて、マイクロ飛沫が浮遊するところ、つまり3密という言葉に代表される換気の悪いところに近寄らないということである。
ライブハウス、昼カラオケ、共用トイレ、大人数での宴会の場所なども、場合によってはこれに当たる。
一方で、通常、風邪の対策には「うがい」が代表格として挙げられるのだが、新型コロナウイルスは唾液の中に多く含まれるため、うがい時の口からの飛沫の拡散が不安視されており、「うがい」の励行はあまり進められていない。
誰もが、画期的で、決定的な新しい感染予防対策を求めているのだが、基本的なことを地道にやっていくしかないのだ。
2 感染拡散時期
詳しくは、下の国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那先生のサイトを参照してもらいたいが、
新型コロナという感染症は、症状が出る前、つまり発熱や咳などの症状が出ていない潜伏期間のときから感染を広げる、そして症状が出る前の潜伏期間中の感染力が一番高い。
つまり、施設入口の検温チェックで引っかからない平熱の方でも、潜伏期間中の感染者だったら感染を広めるのだ。
体調が悪くなってから外出を控えても、実は新型コロナウイルス感染症は、発症日の2日前くらいが一番ウイルスを出しているので、既に広めていることになるのだ(前述の忽那先生のサイトのグラフを参照)
つまり、PCR検査等をしない限り、新型コロナウイルスを出している人を見つけることはできないということである。
多くの病院でクラスターが発生している原因も、骨折や捻挫で整形外科に来た人が、実は発症前(潜伏期間中)の新型コロナ患者だったりすることがある。
このような潜伏期間の方は、身近に感染者が出て、その濃厚接触者としてPCR検査をしたときにはじめて、全く症状のない無症候性感染者として洗い出される。
発症前に見つけ出して隔離することで、無症候性感染者が感染を広めることを未然に防ぐことができることになる。
現在、日本政府が行っている積極的疫学調査がこの方法である。
しかし、感染確立の高い濃厚接触者の検査でもわずか数%程度の陽性率しかない無症候性感染者をスクリーニングで見つけ出すことは、費用対効果的にも、PCRの能力、マンパワー的にも不可能である。
このため感染拡大を抑止するためには、誰もが、常にマスクを着用し、こまめな手洗いをすることしかないのだ。
3 自分のこととして考えてもらいたいこと
最後に、このような特徴を持つ新型コロナウイルス感染症で、どのような不幸なことが起きているかということに言及したい。
テレビでは、時折「家庭内の感染が広がっている」と注意喚起している。
自分の家庭内の行動を振り返ってみるとわかるが、
家でマスクをしているか、共用で使うトイレ、風呂などのドアノブ等の消毒をしているか、歯ブラシが触れ合うように置いていないか、歯磨き粉を共用していないか、大皿で料理を出していないか、1時間に2回換気をしているかなど、考えてみるとしていない。
自宅は気を休める場所であり、家族内感染を防ぐことはかなり難しいのだ。
若者は感染しても比較的軽症か、無症状となる場合が多いが、家にウイルスを持ち帰ると家族が感染する。そして家に高齢者や基礎疾患を持つ方がいる場合、重症化する可能性が高くなる。
実際の現場では、中高年の方が新型コロナに感染し、その濃厚接触者として家族を調べたら、娘も感染していて、娘の経路を調べていくうちに、恐らく娘から父親に感染したということがわかったりする。
経路を追っていくことで、自分の家族はもちろん、親友の家族、バイト先の友達の家族に感染させたのは自分かもしれないということが判明することも考えられるのだ。
新型コロナウイルスに感染するのは、ある程度仕方ないことなのだが、問題となるのは、新型コロナかもしれないのに出勤、登校したりする行動だ。
現在、家族が発熱すると出勤、登校を控えさせる動きになっている。
子供が発熱すると、両親はどんな重要な用務が入っていても出勤できなくなる可能性があるのだ。
大丈夫だろうと過信して気にせず出勤した後、その後に、実は新型コロナだったと判明すると、食事を一緒にした友人、打ち合わせをした取引先、社内の同僚なども検査の対象となる可能性が出てきて、自分だけの問題ではなく、会社全体の問題にもなってくる。
会社としては管理責任を問われる可能性もあるし、社内の消毒が必要となる場合もある。
小売り関係で、店内クラスターでも起きれば、店内消毒や一時閉鎖など大きな痛手となる。
若者も、自分は無症状で終わるかもしれないが、自分の家族、家族の勤め先、自分のバイト先やバイト先の家族、友達の家族や友達の家族の勤め先までも影響を及ぼす可能性があることを、我がこととして考えてもらいたい。
最後に
今年、インフルエンザが広がっていないことは、コロナ対策としてのマスク、手洗いが浸透したからだともいわれている。(諸説あり)
前述の国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那先生のサイトでも、飛沫感染で広がる別の感染症患者が減少していることが記載されている。
一人ひとりが、マスクをきちんと着用して、こまめに手を洗い、三密、換気の悪いところを回避して、飛沫感染、接触感染、マイクロ飛沫感染を防げば、経済を回しながら感染拡大を防ぐことができるのだと思う。
飲食店の方も「時短させられたら食っていけない」などというが、個々の店がキチンと対策をしていれば、対応の仕方も変わってくるのだと思う。
誰もが過信せずに、地道に取り組んでもらえればと願う。