飛行機内のマスク着用拒否の話題について
コロナ禍の中で、世界では感染予防のためのマスクをつけていないだけで罰金を取るところが出てきた。
9月30日、米ニューヨーク市でマスクの着用を拒否した場合、罰金を科すと市長が発表。罰金は最高1,000ドル(約10万5,000円)になるという。
韓国・ソウルでは11月13日、公共交通機関などを利用する際にマスクを着用しなかった場合、罰金最高10万ウォン、日本円で約9400円が科せられる措置が始まったという。
マスクの着用は、日本では義務化されていない。当然、罰則もない。
しかし航空機内でのマスクの着用について、厳しい措置が取られたケースがある。
航空機でマスクをつけなかったら(動画リンク有)
9月7日、北海道・釧路空港から関西空港に向かうピーチ・アビエーション機で、マスクを着用していなかった30代男性にキャビンアテンダントがマスクの着用を求めたが拒否。他の客への配慮のため席の移動を求めても拒否した。
出発が約45分遅れ、飛行中も大声を出すなどして機内で威圧的な行動を取ったため、機長が航空法の安全阻害行為に該当すると判断。男性は機長からの命令により新潟空港に降ろされた。
その後、ピーチ機は関西空港に無事到着したが、乗客120人に約2時間15分遅れの影響が出た。
隣の席の乗客が、この乗客とキャビンアテンダントとのやり取りをスマホで動画撮影しており、Youtubeにアップしていたので、ワイドショーなどでも、このやり取りが大きく取り上げられた。(これがその映像)
消されていた・・・また探してリンクを張らなければ...(R3.4.17)
9月12日、北海道・奥尻空港から函館空港に向かう北海道エアシステム機で、マスク着用を求められた男性が拒否。男性に理由の説明を求めても応じなかったため、機長の判断で降ろされた。
男性は降ろされる直前に、マスクを着用し、機内に残りたいと申し出たが、既に機長が航空法に基づき命令書を交付した後で、安全航行に協力しなかったとして降ろされることとなった。乗客21人に約30分遅れの影響が出た。(降ろされるときの映像)
この2つの事例では、当初はマスクの着用についてキャビンアテンダントが要請し、それを拒否したという「マスク着用」の問題だったが、最終的には、キャビンアテンダントの要請を拒み、その理由の説明を求めても応じなかったため、航空法上の「機内の秩序を乱す」行為ということで降機させられたことになる。
ピーチの事例は、乗客120人、北海道エアシステムの事例は乗客21人に影響が出ていることもあり、反抗した人は民事でも、制裁を受ける可能性もある。
11月に判決がでた「俺、陽性」事件
3月26日、成田発松山行きのジェットスター・ジャパンの航空機内で、無職の男(当時69歳)がキャビンアテンダントに対して「俺、陽性だけど大丈夫」などと言って、出発を遅らせた事案が発生した。
この騒動で出発が約1時間15分遅れ、男性は偽計業務妨害罪に問われ、11月に懲役10月、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の判決が言い渡された。この飛行機には乗客乗員計114人が搭乗していたという。
感染力の強い新型コロナは、これだけ影響が大きいということだ。
「マスクを着用しない自由」もあるのかもしれないが、航空法の「乗客を安全に目的地に運ぶ」という義務は重いものなのだ。
新型コロナウイルス感染症は、まだ全てが解明されているわけではないことから、にわか医学博士がテレビやネットの知識をひけらかし「マスクには予防効果がない」とか、「飛沫感染などする訳ない」とか言ったりしているが、他人が不快に思うようなことはしないにこしたことはないということである。
キャビンアテンダントに注意されて、指示に従ってマスクを着用するのは体裁が悪いので、ついつい意固地になることもあるかもしれないが、自分の維持を保つために払う代償は予想以上に大きかった、ということだろう。
「何もここまでしなくても」という声もあるが、航空会社としては愉快犯などが現れ、さらにエスカレートして混乱を起こす前に懲罰的な対応をしたのかもしれない。
振り返ってみて、離陸前の「携帯電話の電源をお切りください」とアナウンスが流れても、電波があるうちにLINEを送るのに必死なときも多いのだが、キャビンアテンダントに注意されてもやめなければ、同様のケースになる可能性もある。
これらの事件のニュースを見て、今度から注意されたら「ハイ、すいませんでした」と言って、携帯電話の電源をきちんと切ろうと心に決めた。