2030年代半ばまでにガソリン車から電動車にするのは大丈夫?
政府は「2030年代半ばまでに純ガソリン車の新車販売をやめ電動車にする目標」を出している。
しかし、12月16日から18日まで続いた関越自動車道の立ち往生を受けて、全自動車の電動車化に少し疑問を感じてしまった。
なぜなら電気自動車は、前から冬に弱いということが言われているからだ。
2015年、電気自動車・日産リーフは、冬の航続距離が通常よりも41%も減少するという調査データが発表されている。これは寒さによってバッテリーが弱まることと、暖房によるものと考えられる。
冬に懐中電灯が切れた時、電池を温めると再度明かりがつくことがある。
誰もが多かれ少なかれ体験としてご存じだと思うが、どのような方式のバッテリーであっても、化学反応によって電力を発生させている以上、気温が低くなる寒冷地ではその性能が落ちることが普通である。
一般的に、氷点下以下の寒冷地では、電池は平時の20%ほど性能が落ちると言われている。
またガソリンエンジンでは、エンジンを冷却する仕組みを活用して暖房としているが、電気自動車の場合は別途暖房システムを用意する必要がある。PTCヒーター式やヒートポンプエアコン式などが代表的ということだが、別途熱源を生む仕組みを電気で作らなければならないため、航続距離に少なからず影響を与えるのだ。
例えば、日産リーフを普通充電する場合、急速充電器を使った場合は30分ほどで80%近くまで充電することが可能だが、通常の充電では40kwhで8時間、62kwhで12時間半掛かる。
関越自動車道で約3日間に渡った立ち往生では、幸い電気自動車がいなかったと考えられるが、もし電気自動車がいたならば、途中でバッテリーが上がり、車内の暖房もストップしてしまう。
バッテリー入れ替えの仕組みができれば別だが、自衛隊が来てもガソリンのように電気を補給できないため、車内は冷える一方で、凍死や低体温症等につながる恐れもあったと思う。
電欠した電気自動車はレッカー車等でけん引するしかなく、台数が多ければ開通は更に遅くなった可能性もある。
電動車とは、電気自動車(EV)だけでなく、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そしてハイブリッド車(HV)が含まれていると言われている。
エンジンが苦手とする低速時や加速時に走行をアシストするスズキ、マツダのマイルドHVは、今のところ電動車に入るかは不透明である。
甲信越や東北以北の寒冷地のことを考えると、ハイブリットが現実的な選択肢なのかもしれない。