映画「鬼滅の刃」興行収入 国内歴代第1位獲得
現在公開中の映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が12月27日までに、約324億7900万円と、国内興行収入ランキングで、「千と千尋の神隠し」を抜いて、歴代1位となった。(東宝とアニプレックス発表)
この間、第二位となった「千と千尋の神隠し」が抜かれる寸前に、これまでの興行収入308億円に再上映分の興行収入を加えて316億円にしたことが、「鬼滅の刃」の記録を阻止するための悪あがきではないかということもニュースになった。
「千と千尋」が、興行収入を上積みした理由は、コロナ禍の中で映画の撮影中止、新作公開の中止・延期が相次ぎ、旧作である「千と千尋の神隠し」をはじめとする多くのジブリ作品が映画館で再上映されたことにある。
通常、旧作は封切館ではなく二番館と呼ばれる名画座等で上映されることが多いのだが、今回、コロナ禍の中でシネマコンプレックスをはじめとする封切館でもリバイバル上映されたことが大きく、「千と千尋の神隠し」は8億8000万円を上積みしたとのこと。
既に、「鬼滅の刃」の勢いから、抜かれることは時間の問題だったため、ネット等の反応でも、一部、「見苦しいのでは」といった意見はあるものの、特段大きな不協和音を生むことにはならなかったようだ。
東宝としては、『鬼滅』に興行収入を抜かれた後に発表し、第一位に返り咲くと、それこそ「見苦しい」行いになるため、今回のタイミングになったようだ。
「鬼滅の刃」一人勝ちの背景には、コロナの影響でハリウッド作品等の大作が公開延期となり、競合する大作が少なかったこと、映画館は声を出さないためコロナの感染リスクが比較的低いと認識されたこと、などが追い風になったようだ。
一方で、まだ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が上映中にも関わらず、「鬼滅の刃」の次回作についての話題が上がってきている。
今回の大成功を受けて、東宝が「是非、次回作を映画で」とラブコールを送ったということが大きいのだろう。
「鬼滅の刃」は、そもそも漫画が発刊された当時はそれほどの勢いがあった訳ではなく、Ufotableの丁寧なアニメ作くりが当たったと言われた作品だ。
アニメは既に多くの配信系(アマプラ、Netflix、U-NEXT、Hulu等)で放映されており、映画の興行収入確保にも大いに貢献している。
今後は、国内興行収入第1位の看板を持って、配信系、テレビ、映画配給等と有利な交渉をしていくのだろう。
2020年11月、国会の衆議院予算委員会で菅義偉総理大臣も鬼滅人気にあやかろうと「全集中の呼吸で答弁させていただきます」と引用するくらいの人気だ。
今後の展開が楽しみである。
これまでの興行収入の動きについては、過去記事を参考にしてください。