栗きんとん+ホイップクリーム=モンブラン
正月はおせち料理だ。
最近は、手作りしない人も多く、以前、通信販売でおせち料理を頼んだら、スカスカのお重が送られてきたなどとニュースになったりしたこともある。
しかし私は正月にはおせち料理を一部作っている。
担当は、栗きんとんだ。
結婚したての若かった頃、甘党の私は、腹いっぱい栗きんとんを食べたいと思い、栗きんとん作りに立候補した。
料理本を見ると、実は作り方は意外と単純なのだ。
サツマイモの皮を厚めに剥き、水に一晩漬ける。(ここで色の悪い部分は捨てる)
途中1時間つけたくらいで、アクで濁った水を入れ替える。
翌日、水を入れ替え、色付けのくちなしの実(これで黄色になる)を入れて、芋が軽くつぶせるほどに柔らかくなるまで煮る。
お湯を捨て、芋を裏ごしする。
裏ごしした芋に、水あめ、栗の甘露煮の汁を入れて煮る。(お好みに合わせて砂糖を入れる)
栗の実を入れて熱を通せば完成
と、いたって単純な料理である。
しかし唯一のハードルがあった。
裏ごしである。
初めて作った年は、芋を裏ごしするのに「馬毛うらごし」を使ったのだが、芋の繊維がですぐに目が詰まった。
また力を入れて木ベラで芋を潰しながら裏ごしするので、汗びっしょりになった。
裏ごしによって、非常に滑らかな口当たりの栗きんとんが出来たが、師走の終わり、とても寒い日だったが、最後には上半身裸になるくらい発汗し、非常に体力を消耗した。
翌年は、学習機能を働かせ、馬毛うらごしよりも目の粗い金属製の振るいを使って裏ごしすることにした。
髪の毛が落ちないように頭にタオルを巻き、木べらで裏ごすのだが、やはり芋の繊維質でふるいが目詰まりし、汗びっしょりになった。
3年目になると「今年も栗きんとん作らないといけないのかなぁ」と思うようになっていた。一年前の辛い思い出が走馬灯のようによみがえる。
「栗きんとん、作るって言わなければよかったなぁ」
もう栗きんとんは私の担当になっていたので、作らない訳にはいかない。
ネガティブな発言をすると
「新婚の時はしてたのに…」
と直ぐに言われてしまう。
そこでたまたま買った「くちなしの実」の袋の裏側に、裏ごしせずに、マッシャーでただ潰すだけという作り方が書いていたので、右にならえと裏ごしせずに作ることにした。
できた栗きんとんを食べた母親(我が子から見るとおばあちゃん)は、
「芋がなめらかじゃない」
と言っていたが、食物繊維があった方が健康にも良さそうだし、何よりも汗びっしょりになることもないので、それ以降は、ずっと裏ごしをせずにマッシャーでつぶす作り方が定番となった。
このため、マッシャー2年目からは、芋を切るときマッシャーで潰しやすいように、5ミリ~1センチくらいの厚みで輪切りにすることにした。
そうすることで、出来るだけ繊維質を切り、煮たらすぐにクタクタになる。マッシャーで押したらベチャッと簡単に潰れるようになった。
そんなこんなで10年以上、栗きんとんを作っていたが、50歳を超えて、最近は甘いものをたくさん食べることが辛くなってきた。
身体の代謝が落ちてきたからなのかもしれない。
若い頃は、正月休みには毎食、栗きんとんをボソッと容器から取って好きなだけ食べていたのだが、あまり量が進まなくなった。
ホイップクリームとの出会い
たまたま冷蔵庫に、クリスマスに娘がケーキを作ったときのホイップクリームが残っていたので、栗きんとんにかけて食べると
「おおぉ、モンブランだ」
そういえば、うちの家族はみんなモンブランが好きで、東京土産は羽田空港で必ず
それからは、ホイップクリームがなくなるまで、家族内でモンブラン争奪戦が起きた。
おすすめです。