金継ぎに挑戦 大切な食器を使い続ける昔からの知恵
欠けたり、ヒビが入った陶器の破損した部分を漆で接着し、仕上げに金粉で装飾する修復方法を「金継ぎ」という。
コロナ禍の中で、家庭内活動が盛んになっていることもあって、テレビや雑誌でも特集が組まれるほど、人気になっている。
「モッタイナイ」という言葉の理念や、循環社会、リユース、リサイクルといった環境的な視点からも、金継ぎは注目されている。
そんな流行に乗ろうとしたのではないが、プレゼントでもらった湯呑が欠けたので、金継ぎモドキにチャレンジしてみた。
食器を片付けているときに、他の食器と当たって、大切な湯呑が欠けてしまった。
形あるものは壊れる、という理のとおりに捨てようとしたところ、
「そういえば、金継ぎってどうやってやるのだろう?」
という疑問が浮かんだ。
漆でくっつけて、金粉で蒔絵のように仕上げるのだろうと、漠然と思っていたのだが、今はネットの時代、自分でもできないかググってみることにした。
「金継ぎキット」「金継ぎセット」など、いろいろなものが売っているが、それぞれ内容はしっかりしているのだろうが数千円もしてしまう。どちらも私の小遣いでは厳しい額だ。
欠けた湯呑は1つ。
しかも、今後、金継ぎして使おうと思う食器がたくさんある訳でもない。
ということで、安く、金継ぎごっこができないかと考えた。
近くのホームセンターに行って、金継ぎの道具がないか、漆が売っていないか聞いてみたが、私が希望する程度の少額のものは置いていない。
そこで、ネットショップを彷徨いながら、500円もしない漆(もどき?)を頼むことにした。
まずは欠けた破片を接着する「麦漆」を作る
漆は接着する力は弱いそうなので、小麦のグルテンの粘着力で欠けた破片をくっつけることになる。
まずは小麦粉に水を入れ、グルテンの粘り気がでるまで練り上げる。
【ここでポイント】
漆が付くと食器がダメになるかもしれないと思い、今回キッチンペーパーを使うことにした。食器も汚れないし、机も汚れない。
ということで、奥様からも怒られることもないので、安心して取り組むことだできた。
いよいよ欠けた破片をくっつける
欠けたところをくっつけたほか、陶器が水を含まないように釉が剥げたところにも薄く麦漆を塗った。
この後、2~3日、麦漆が完全に乾ききるまで陰干しした。
いよいよ金継ぎ
今回購入した漆には金粉(真鍮粉)が付属しているため、漆に粉をふりかけ混ぜ込む。
これを2~3日陰干しして、現在使用している。
漆などが少しはみ出た部分があったので、あまりお勧めはしないが、金粉漆の凸凹と合わせて、メラミンスポンジで少し磨いた(釉のガラス質が削れるといけないので軽く磨いた程度)
まだ再び使用しだして2日目くらいなのだが、未だに漆のかぐわしいにおい(かなりの悪臭)がとれない状況であるが、使うたびに臭いは薄くなっていっている。
今回、もう使えなくなった湯呑を金継ぎするということで、筆も使わずに、爪楊枝だけでラフに作業を行ったが、若干の臭いはともかく、かなり愛着が出てきた。
作業をすべて終えた後に気づいたのだが、この漆は釣り道具の修理用で、食器を修復するものではなかったのだ。
下のような注意書きが書いているのだが、大丈夫か、少し不安である。
※本品は食品衛生法の基準に適合しておりませんので、食器など直接口にふれる物への塗装にはご使用いただけません。
基準に適合していないって?毒?大丈夫?