新型コロナウイルスの変異株の呼び方が変わるようだ
5月31日、世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの変異株について、発生した国名を使わずに、今後は、ギリシャ文字を使った名称を使うと発表をした。
つまり今後は、
英国で最初に特定された英国株「B.1.1.7」系統は「α(アルファ)」
南アフリカで特定された南アフリカ株「B.1.351」系統は「β(ベータ)」
ブラジルのブラジル株「P.1」系統は「γ(ガンマ)」
インドのインド株「B.1.617.2」系統は「Δ(デルタ)」
と呼ばれることになるのだ。
WHOは、この新しい名前の付け方は、議論を簡易化するだけでなく、国名が入ることによるレッテル張りや偏見を取り除くためだと説明している。
その英語表現がこれだ。
The WHO said this was to simplify discussions but also to help remove some stigma from the names.
ここで出てきた「stigma」という単語は
▶︎〔社会的な〕烙印、汚名、不名誉のしるし
という意味だ。
確かに、イギリス株、インド株と名前が付けられると、イギリスやインドは「コロナ変異株発症の国」の烙印を押されたということになるかもしれない。
前アメリカ大統領のトランプ氏が、新型コロナウイルスのことを「チャイナヴァイアルゥース」と連呼していたことを思い出す。
この名称変更は、
インド政府が、「B.1.617.2」を「インド型変異株」と呼んでいることに抗議したことによってWHOが動いたようだ。
ただし、これまでもWHOは「B.1.617.2」を使っており、「インド株(Indian variant)」といった呼び方をしていなかったとのことだ。
この名称変更については、
「どの国も、変異株を特定し報告したことで偏見の対象になってはならない」
とWHOは話しているとのことだが、確かに、自国が「変異株発症国」のレッテルを張られたり、烙印を押されたりする、といったマイナスイメージに繋がるのなら、報告しない!となったらいけない、という配慮なのだろう。
しかし、日本人にはなじみの薄いギリシャ文字24字が使われることは、日本人にとっては、非常に頭の整理的にはきつくなるだろう。
ニュースの中では、しばらくは
「α株、いわゆる英国で発症した変異株は・・・」
などと言った注釈が入るかもしれない。
また、インド株ならインドからの水際対策などと、名前から対策が連想できるが、Δ(デルタ)株だったら、それがインドなのか、エジプトのナイル川デルタで発症した株なのか?と考える人も出てきそうだ。
α株(英国株)とΔ株(インド株)が組み合わさったとみられる、新たな変異株「ベトナム株」を何と呼ぶのかは不明だが、しばらくは頭の体操が必要になりそうだ。
参考まで、ギリシャ文字24字を書いておく。
三菱の名車ギャランΣ、ギャランλ、円周率のπ、スピードマスターのΩなど、知っている文字もあるが、やはり馴染みがないなぁ。
そういえば、昔、
トルコ人留学生の抗議運動で名前が変わったというものがあったような。。。
α Α alpha アルファ
β Β beta ベータ
γ Γ gamma ガンマ
δ Δ delta デルタ
ε Ε epsilon イプシロン
ζ Ζ zeta ゼータ
η Η eta イータ
θ Θ theta シータ
ι Ι iota イオタ
κ Κ kappa カッパ
λ Λ lambda ラムダ
μ Μ mu ミュー
ν Ν nu ニュー
ξ Ξ xi クサイ
ο Ο omicron オミクロン
π Π pai パイ
ρ Ρ rho ロー
σ Σ sigma シグマ
τ Τ tau タウ
υ Υ upsilon ウプシロン
φ Φ phi ファイ
χ χ chi カイ
ψ Ψ psi プサイ
ω Ω omega オメガ
参考記事:WHO renames UK and other variants with Greek letters by BBC
↓ 昔の変異株の記事。