ラムダという名の変異株、現る!
アメリカは、2021年初めに、南アフリカ、ブラジル、英国からの渡航者へ入国制限をかけた。これらは新型コロナウイルスの変異株の名称をめぐる影響があるのかもしれない。
実は、1918年に世界的に大流行したインフルエンザは、最初の症例が報告されたのはアメリカにもかかわらず、「スペインかぜ」という名で一般的に広く知られたことから、今では、インフルエンザはスペインが起源で大流行した感染症だと思われている。
WHOは、全ての変異株に名前を付けるのではなく、特に毒性や感染力が強く、ワクチンや治療薬が効かない恐れがある4種類の「懸念される変異株(Variants of Concern:VOC)」に対して新名称を適用することとした。
そして命名する際は、ギリシャ文字を使って表し、アルファ、ベータのほか、ブラジルで最初に検出されたものを「ガンマ」、インドで最初に検出されたものを「デルタ」と名付けた。
これは「インド株」「インド型」と呼んでいたことにインド政府が抗議したことによるものだそうだ。
さらに、クラスターの発生が確認されたものや複数の国で確認された6種類の「注目すべき変異株(Variants of Interest:VOI)」に関しても、「イプシロン」「ゼータ」「イータ」「シータ」「イオタ」「カッパ」と名付けた。
そして2021年6月14日、新しく「ラムダ」の名が付く変異株が生まれた。
ペルーで2020年8月に初めて報告され、大流行している新型コロナウイルスだ。
その威力は
「ラムダ、ハンパねぇ」
と言われるくらいで、東京オリンピックを機に日本に上陸する恐れが浮上している。
私の世代でラムダと言えば、当然、三菱の「ギャランラムダ」だ。
三菱10年10万kmストーリーサイトより「ギャランラムダ」
4ドアのギャランΣに対して、スポーティな2ドアハードトップモデルで、日本車初のサイドに折れ曲がったリアウィンドウを採用した直線的スタイル、また国産車初採用である一本スポークのステアリングホイールを採用し、6連メーターの視認性を向上させていた。
そのスポーティな走りは
「ラムダ、ハンパねぇ」
と言われていたのかどうかは不明だ。
Webモーターマガジンサイトより「一本スポークのステアリングホイールと6連メーター」
Webモーターマガジンサイトより「ギャランラムダ 2000GSR」
ところで、ペルーの保健当局は、2021年4月以降に確認された症例の81%がラムダ株に関連していたと報告している。
有病率の高さは9%で、エクアドル(有病率8%)、アルゼンチン(有病率3%)からも報告されている。
アルゼンチンではラムダ株の有病率が上昇し、2021年4月2日から5月19日までの症例の37%がラムダ株であったとのことだ。
ラムダ型は、これまでに無い変異が細胞との接続部分にあり、既存のワクチンの有効性が下がると言われている。
もし、既存ワクチンの有効性が大幅に低下するのであれば、日本国内でワクチン接種が進んでも、ラムダ株によって感染再拡大が起きかねない。
■COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年6月15日
【VOCの新呼称】懸念すべき変異株 Variant of Concern
主に感染性や重篤度が増す・ワクチン効果を弱めるなど性質が変化した可能性のある株
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの新呼称】注目すべき変異株 Variant of Interest
主に感染性や重篤度・ワクチン効果などに影響を与える可能性が示唆される株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
2021年6月15日時点の懸念すべき変異株(VOC)・注目すべき変異株(VOI)