「三省堂国語辞典」8年ぶりの全面改訂で入った言葉、出た言葉
「三国(サンコク)」の愛称で親しまれ、60年以上版を重ねてきた小型国語辞典のロングセラー「三省堂国語辞典」が8年ぶりに全面改訂され、第八版として発刊される。
「ことばで写す時代(いま)3,500の新語の数だけ、私たちの暮らしは変わりました。」
とコピーにあるように、時代を映す3,500語を増補したとのことだ。
新語の例がいくつか例示としてあげられているのだが、既に日常的に使っている言葉から、まったく意味がわからないものまで色々だ。
また知っていると思っている言葉でも、時代によって意味が変わるということもあるので注意が必要だ。
例示に上がっている言葉では、SNSやLINEで使われている言葉、その中でも特に若者が使っている言葉、アニメやゲーム、テレビ番組によって生まれた言葉、そして新型コロナの感染拡大の影響により生まれた言葉などが多く取り上げられているようだ。
食べ物関係では、これまであまり知られていなかった東南アジア系の食べ物や、最近流行のマリトッツォなど、輸入され、流行ったものが掲載されるようだ。
大学時代は「現代用語の基礎知識」を毎年購入し、正月休みに読んだりしていたが、最近はわからない言葉が出ればすぐにネット検索できる時代。
私のような定年間近のものにとっては、逆に消える言葉にも興味が沸く。
「着メロ」「コギャル」「スッチー」(スチュワーデスの愛称、今はフライトアテンダントだもんね)「トラバーユ」などがなくなるそうだが、どれも時代を反映していて懐かしい言葉だ。
一方で、新語もなくなる言葉も三省堂から発表されたであろう例示しか表に出ていないので、他にどんな言葉が入り、どんな言葉がなくなったのかを想像するのも面白い。
想像するに、バブル期やそれ以前の言葉である「ハイソカー」「ワンレン」「ボディコン」、パソコンや通信等の用語である「モデム」「MD」「MO」「フロッピー」や「写メール」、「ブラウン管」なんかも掲載されていた言葉だったら、なくなるんだろう。
「マッチ」という言葉がなくなれば「マッチポンプ」という熟語も「ライターポンプ」に変わったりするのだろうか。
新しく追加された言葉を、少しカテゴライズしてみた。
※青太文字は意味を調べているもの。ただし「三国」に掲載されている意味とは違うかもしれない。
■SNS等から来た言葉
いいね/ポチる/壁打ち(ネット用語では「フォロワーが0人の状態でツイートを発信し続けること」)/誤爆 (LINEなどで意図しなかった文章を書き込んでしまうこと)/ばえる/身バレ(身元や身分が明らかになってしまう様子)
■コロナ禍の中で生まれた(広まった)言葉
ウェビナー/巣ごもり/ソーシャルディスタンス/ブースト/フレイル/クラスター/リモート(飲み会)/黙食/
■人気の食べ物などからきた言葉
・パッタイ(米粉でできたやや太めのビーフンを使用して作るタイの焼きそば)
・びにゃんびにゃん麺(幅広のモチモチとした麺が特徴の中華料理。ビャンという字はビャン麺以外に用途がない漢字のため中国人でも書ける人は少ない)
・ホンビノス貝(原産地は北アメリカ大陸の大西洋側。東京湾などにも定着し漁獲対象になっている。かつては邪魔者として扱われることが多かったが、食味の良さが注目され、漁獲と流通が行われるようになった。
・麻辣:花椒(中華山椒)と唐辛子による中華料理の味付
・増し増し:量を多くすること。ラーメン二郎の注文方法から一般化した。
■アニメ関連
・CV(アニメに登場するキャラクターの声優を表す)/聖地巡礼
・世界線(SF作品などでは「パラレルワールド」の同義語として使われる)
・ゾーンに入る(集中力が非常に高まり、周りの景色や音などが意識の外に排除され、自分の感覚だけが研ぎ澄まされ、活動に没頭できる特殊な意識状態になること)
・爆誕(世間を騒がせるような衝撃を伴って、生まれること)
・棒人間( 「頭が丸、体が棒線」で出来た非常にシンプルなキャラクター。誰もが描いたことがある創造の原点。主な住みかはテスト用紙の裏やメモ帳の片隅など。誰とでも仲良くなれる気さくなナイスガイ)
・夢落ち:物語の最後に「それまでの出来事は、じつはすべて夢だった」という結末を明かして終わること。西洋文学では『不思議の国のアリス』が一番有名。
■若者言葉
・エモい
・主語が大きい:一人しかいないのに「私たち住民は断固反対する!」とか! 全員に聞いたわけでもないのに「我々都民は我慢の限界」とか! 自分の意見をみんなの意見のように言う 主語のデカい人!
・マウンティング:本来、動物が自分の優位性を表すために相手に対して馬乗りになる様子。人間関係において、自分の方が優位と思いたいがゆえに、自分がより幸せであり、立場は上であると主張し、アピールすること
・秒で:すぐに、急いで、といった意味で用いられる若者言葉
・ラスボス:主にコンピュータゲームで使用される用語。ラストボスとも呼ばれる。英語ではFinal boss。「最後に立ちはだかる最強の存在」的な意味合いで使われる。
・リアタイ:リアルタイムの略。主にテレビやネット配信に対して使われ、テレビ番組やネット配信を放送時間に視聴すること
・ワンチャン:「One Chance」の略語で元々は麻雀用語。一回のチャンスをモノに出来れば、逆転できる可能性がある、といった意味。
■三省堂が発表している言葉
新語の例:
アウティング/赤信号みんなで渡ればこわくない/アラフィフ/ESG/いいね/一周回って/犬笛/陰キャ/ウェビナー/受け子/遠慮のかたまり/置きに行く/おれがおれが/ガールズバー/カオマンガイ/ガテン系/壁打ち/完コピ/完登/完母/規格外/聞けば/ギャン泣き/きゅんきゅん/きょうイチ/くるりんぱ/香害/ごはん屋/災後/刷成/CV/自分事/主語が大きい/素で/聖地巡礼/世界線/洗口/センベロ/争続/そうなんですね/ソーシャルディスタンス/ゾーンに入る/即食/即完/たるたる/つうか/ツーブロック/DMAT/ディストピア/デジタルトランスフォーメーション/ですです/テンプレ/トラロープ/撮れ高/斜め上/鍋を振る/ニコイチ/猫パンチ/ノームコア/バーム/バインミー/爆誕/はずい/パッタイ/羽根付きギョーザ/はふはふ/腹落ち/パラリンピアン/ビャンビャン麺/秒で/ブースト/フレイル/別日/ベビーキープ/ヘルプマーク/棒人間/ポチる/ホニャララ/歩容/凡事/ホンビノス貝/麻辣/増し増し/マタニティーマーク/マリトッツォ/身バレ/毛量/黙食/持ってる/夢落ち/ラスボス/リアタイ/リカレント教育/ルッキズム/列格/連席/ワオ/わちゃわちゃ/悪目立ち/ワンチャン
新語義の例:
完封(箸)/クラスター/誤爆/塩(対応)/巣ごもり(消費)/忖度/つらみ/(新曲が)尊い/とろみ(ブラウス)/なんなら/~ペイ/(まつたけ)祭り/目詰まり/リモート(飲み会)