脳ドックのMRIの検査の音に負けない曲「Make-up Shadow」
脳ドックを受けたことがあるでしょうか?
MRIという装置を使って、X線などの放射能を使わずに、磁気の共鳴を使って頭蓋骨を切ることも割ることもなく、中の様子を見ることができる装置だ。
定期的に検査をすることで、早期に脳梗塞の予兆、脳動脈瘤を発見できたりする。
MRIは、巨大なドーナツ状の装置なのだが、測定中にガーンガーンガーンとずーっと音が鳴り続けるのだ。
「いやぁ、MRIって、ガーンガーンってうるさいよね」
と脳ドックの思い出を話していると、いつも真面目な木庭さんが突然話し出した。
ある年、木庭さんが人間ドックの際に脳ドックしたときの話だった。
私は音がうるさいからと、ヘッドフォンをされてクラシックを流されたという話をしたところ、木庭さんはちょっと面白い体験をしたとのことだった。
技師から
「MRIはかなり音がうるさいので、その間、音楽を聴いてもらいます」
と言われ、木庭さんは言われるがままヘッドフォンを着けられたそうだ。
「では大きな音がしますが、音楽を流しますので、検査が終わるまで身体を動かさないようにお願いします。」
ここまでは私が検査を受けた時と同じなのだが、これからが全く違うのだ。
私は歌のないクラッシックのインストゥルメンタルをかけられたのだが、木庭さんが流された曲は、1993年、第35回日本レコード大賞編曲賞を受賞した曲、井上陽水の「Make-up Shadow」(メイク・アップ・シャドウ)だったらしいのだ。
「Make-up Shadow」は、WIKIPEDIAによれば、バブル期の1993年度に年間27位(オリコン)を勝ち取ったヒット曲だ。
ある方の表現によれば、井上陽水さんの歌声は、「鼻腔に芸術的に通る声. チェストボイス」ということなのだが、ほかの歌手では聞いたことがないような甘い鼻声、少しこもったような特徴的な響きだ。
その特徴的な甘い歌声で、木庭さんの耳元で歌い続けたのだ。
MRIの検査時間は約30分。
この間、木庭さんはMRIのガーンガーンという機器ノイズに負けないくらいの音量で、鼻にかかった井上陽水さんの「Make-up Shadow」を聞き続けた。
トヨタのコマーシャルにもCMソングとして使われ、少し聞き覚えがあった程度の曲だったらしいのだが、別の曲に変わることもなくかかり続け、この検査中にすっかり覚えてしまったそうだ。
でも何故「Make-up Shadow」なのかと、ずーっと聞きながら考えたそうだ。
検査が終わった時に技師に理由を聞きたかったが、検査が終わった後は、
ウ・ゥウウゥー♬ メイキャップ・シャドウに♩
ウ・ゥウウゥー♬ メイキャップ・シャドウに♩
と、ずーっと「Make-up Shadow」が頭の中を駆け巡り、しばらく呆然として何も質問できなかったらしい。
でもなぜ「Make-up Shadow」だったのだろう。
その後「Make-up Shadow」は、木庭さんのカラオケの十八番になったとのことだ。
もしこのページを読んだ方には、是非、「Make-up Shadow」を聞いてもらいたい。
なぜ「Make-up Shadow」だったのか?
きっと同じ疑問をいだくはずだ!
ウ・ゥウウゥー♬ メイキャップ・シャドウに♩
1993年7月21日にリリースされた井上陽水の33枚目のシングル
作詞:井上陽水 / 作曲:彩目映(佐藤準) / 編曲:佐藤準
1993年フジテレビ系ドラマ
『素晴らしきかな人生』主題歌。
2006年トヨタ・ブレイドCMソング曲。
そして好きになった人は是非購入してもらいたい。